私が〝きょうだい会〝のことを知ったのは、20代後半の事でした。しかし、すぐに会に参加することなく、数年間、会費だけを払っていました。寄付のつもりでした。自分の悩みは自分だけのものであり、会に参加してもきっと一人孤独だよなと、考えていたのです。会に参加するのでさえ、すごく勇気が必要だったのです。初めて会に参加したのは、30歳を過ぎた頃です。座談会でした。自分の思いのたけを吐き出し、気持ちがすごく楽になりました。と同時に〝自分は一人ではない〝ということを知りました。いや、他のきょうだいたちに教わりました。結婚に悩み、親なき後に不安を抱くのは、多くのきょうだいたちの共通した悩みだったのです。もっとこの会のことを早く知って参加していたらと、後悔もしました。今は、一日も早くこの会の存在や役割を一人でも多くのきょうだいたちに知ってもらいたいと思っています。
最近は、ヤングケアラーの問題と支援が話題になっていますが、今会に在籍しているきょうだいたちのほとんどが、かつてヤングケアラーだった人たちです。この会の運動が始まって約60年(1963年結成)になりますが、障害者のきょうだいたちへの支援の方が先だろうとさえ、思ってしまいます。きょうだいたちはヤングケアラー問題の先駆者であり、代表格でもあるとも勝手に思っています。さらに一般のヤングケアラーたちは、その対象者がやがて自立し、卒業となりますが、障害者のきょうだいたちはそうはいきません。一緒に住んでいる限り(対象者の障害程度にもよりますが)、卒業はほとんどありません。18歳以下の介護者をヤングケアラーとするなら、私自身ヤングケアラーとしてのキャリアは6年、その後のケアラー(介護者)としてのキャリアは、きょうだいが施設入所するまで24年続きました。ケアラーとしてのキャリアの方がはるかに長いのが、障害者のきょうだいたちの特徴でもあります。さらに私自身は、高校時代、勉強の成績が下がったという経験があります(この経験は複数のきょうだいたちに見られます)。将来の不安を考えると、勉強が手につかなかったのです。ぜひ、これから生まれてくる障害者と、そのきょうだいたちに、そのスポットが当たり、きちんとした福祉制度の下での支援が、受けられることを切に願っています。
繰り返しになるかもしれませんが、きょうだい会の理念は「〝生きていて本当に良かった〟ときょうだいと障害者がともに言える社会を創ろう‼」です。多くのきょうだいたちがきょうだい会に参加して、一人一人が抱えている悩み、不安、ストレス、その他の困難などが少しでも軽減され(中にはうつ病などの精神疾患を患ってしまうきょうだいもいます)、障害者のきょうだいがいることで生じる悩み、不安、ストレス、その他の困難などを抱えなくてもすむ普通の、当たり前の社会(真の福祉社会)の実現を願ってやみません。それこそがこの会を結成した先輩きょうだいたちの願いでもあるのですから…。